こんにちは、かめこです。
社会福祉士でASDの子どもを育てている現役ママです。
子どもが進級して、年長になったとき。
そろそろ小学校の事を真剣に考えだします。

「うちの子は通常学級でやっていけるのかな…」

「もし支援学級なら、知的学級と情緒学級どっちなんだろう?」
園の先生に聞いても「ご家庭で決めることですから」と濁され、
ネットを見れば制度の説明ばかりで、うちの子のことになると判断できない——
年長の秋、私は「支援学級」と検索窓に打ち込んで、そこで初めて、
支援学級に知的学級と情緒学級の2種類あることを知りました。
名前は2つ並んでいるのに、それぞれがどういう場所で、息子が通ったら何をしてもらえるのかは、読んでもよく分からない。
制度の説明を開いては、また閉じる。それを何度か繰り返していました。
この記事には、知的学級と情緒学級が制度上どこで分かれているのかと、
わが家が就学のときに何を見て決めたのかを書いています。
自治体によって運用が違う部分も、わかる範囲で。
わが家の場合、ASDの息子の就学では「癇癪のコントロール」が判断の軸になりました。
私自身、この2つの違いを自分の言葉で説明できるようになるまでには、ずいぶん遠回りをしています。
社会福祉士の勉強で制度の名前だけは知っていたのに、いざ息子に当てはめようとすると、そこで止まってしまうんです。
この記事を読むとわかること
- 知的学級と情緒学級の大きな違いは「知的発達の遅れがあるかどうか」
- わが子がどちらに該当しそうか判断する3つのポイント
- 就学相談の前に親ができる具体的な準備
知的学級と情緒学級の違いを一覧で比較

まずは全体像を表で確認します。
細かい違いは後の章で1つずつ解説するので、
ここではザックリ掴んでもらえればOKです。
| 比較項目 | 知的学級 | 情緒学級 |
|---|---|---|
| 対象 | 知的発達に遅れがある子 | 知的発達に遅れがなく、ASDや場面緘黙等のある子 |
| 教育課程 | 下学年の内容や特別支援学校の教科に代替できる | 通常学級に準じた教育課程が基本 |
| 指導の中心 | 生活単元学習・自立活動など | 自立活動(人間関係・コミュニケーション等)が中心 |
| 進路の傾向 | 特別支援学校・支援学級・職業学科など幅広い選択肢 | 通常学級への戻り・通常の進学ルートが取りやすい |
一番大きな違いは「知的発達の遅れがあるかどうか」。
この前提が違うので、教えてもらえる内容や進路の選択肢も変わってきます。

表を見ても、「うちの子はどっちなんだろう」って結局わからないんです…。検査で「様子を見ましょう」って言われて、判断しづらくて。

グレーゾーンに近い子ほど迷いますよね。
このあとそれぞれの学級を詳しく見ていって、最後に「どっちか判断する3つのポイント」も紹介するので、一緒に整理していきましょう。
知的学級(知的障害特別支援学級)とは

正式名称は「知的障害特別支援学級」。
知的発達に遅れがあり、通常学級での学習や生活に支援が必要な子ども
を対象にした学級です。
対象になる子どもの状態
文部科学省の資料では、対象を次のように示しています。
知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で、社会生活への適応が困難である程度のもの
(文部科学省「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について」より)
ザックリ言うと、
日常会話はできるけれど抽象的な概念の理解が難しい、
身の回りのことは概ねできるけれど一部援助が必要、
というイメージです。
判定には田中ビネー知能検査やWISCなどの個別検査の結果に加え、
観察や生活適応の検査(S-M社会生活能力検査など)を組み合わせて、総合的に判断されます。

教育課程の特徴
知的学級の大きな特徴は、
子どもの発達段階に合わせて教育課程を柔軟に変えられること。
具体的には、
- 必要に応じて下の学年の各教科の内容に代替できる
- 必要に応じて特別支援学校(知的障害)の教科の内容に代替できる
- 当該学年のまま学ぶことも可能
たとえば小学3年生で在籍していても、算数は1年生レベル、生活科に近い内容を学ぶ、
という調整ができます。
どんな指導が受けられるか
中心となる指導は次の2つです。
- 生活単元学習:買い物・調理・季節の行事など、生活に直結したテーマを通して、各教科の学習を統合的に進める
- 自立活動:身の回りの自己管理、コミュニケーション、感情のコントロールなど、自立に必要なスキルを練習する
情緒学級(自閉症・情緒障害特別支援学級)とは

正式名称は「自閉症・情緒障害特別支援学級」
知的発達に遅れはないけれど、ASD(自閉スペクトラム症)や場面緘黙などにより、通常学級での生活に困難がある子どもを対象にしています。
対象になる子どもの状態
文科省の資料では、対象を次の2つに分けています。
①自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの
②主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの
①はASD、②は場面緘黙や長期化した不登校などが想定されています。
ここで重要なのは、
多くの自治体で「知的発達に遅れがないこと」が前提
になっている点。
たとえば東京都教育委員会は、自閉症・情緒障害特別支援学級の対象を「知的障害のない自閉症等の児童・生徒」と明記しています。

じゃあ、ASDで知的にも遅れがある場合はどうなるの?

その場合は知的学級が選択肢になることが多いです。ただし、自治体によって運用が違うので、お住まいの教育委員会に確認するのが確実ですよ。
教育課程の特徴
情緒学級では、通常学級と同じ教育課程に準ずるのが基本。
各教科の目標や内容は、原則として学年相応です。
そのうえで、自立活動の指導が加わるのが大きな特徴です。
どんな指導が受けられるか
情緒学級の指導の中心は「自立活動」。具体的には、
- 人間関係の形成:友達とのやりとり、ルールの理解
- コミュニケーション:自分の気持ちを言葉で伝える、相手の気持ちを推測する
- 心理的な安定:感情のコントロール、不安への対処
- 環境の把握:感覚過敏への対処、見通しを持つ
など、ASDや情緒の困りごとに直結するスキルを、少人数(公立の特別支援学級は1学級8人が法令上の標準です。出典:公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律 第3条)で丁寧に練習します。
「うちの子はどっち?」判断の3つのポイント

ここまでで制度上の違いは見えてきました。
でも、実際にわが子に当てはめて考えると、まだモヤモヤする方も多いはず。
判断材料になる3つの視点を紹介します。
① 知能検査(WISC等)の結果を確認する
最初に見るべきは、WISC-IVやWISC-Vなどの個別の知能検査の結果です。
- 全検査IQ(FSIQ)が概ね70未満:知的学級が選択肢の中心になりやすい
- 70以上ある:情緒学級や通常学級+通級が選択肢の中心になりやすい
ただし、IQの数字だけで決まるわけではありません。
そもそも、判断の基準として数値を示していない自治体もあります。
指標間のばらつき(言語理解は高いけれど処理速度が極端に低いなど)や、
日常生活でどれくらい困っているかもあわせて見ます。
② 学習面と生活面、どちらの困りごとが大きいか
次に、子どもが何で困っているかを整理します。
- 学習についていくのが難しそう(理解のスピード、抽象概念の習得など)→ 知的学級が選択肢に
- 学習よりも対人関係・感情コントロール・感覚過敏が大きな課題→ 情緒学級が選択肢に
- 両方ある→ 自治体の運用や本人の状態で判断
「学習はできるけど、集団行動や友達関係でつまずく」というタイプは、情緒学級が向いていることが多いです。
③ 自治体・学校による運用の違いを確認する
意外と見落としがちなのが、自治体ごとの運用の違い。
- 東京都など一部自治体では、情緒学級の対象を「知的障害のないASD等」に限定
- 知的に遅れがあるASDの子は、知的学級に在籍するケースが多い
- 自治体によっては、そもそも情緒学級が設置されていない学校が大半ということも

えっ、住んでる場所で選択肢が違うってこと?

はい、ここは本当に自治体差が大きいんです。
だから、ネットの情報だけで判断せず、お住まいの教育委員会や見学先の学校で「どんな子が在籍していますか?」と直接確認するのがおすすめです。
知的学級・情緒学級それぞれのメリットと注意点

選ぶときに知っておきたい、それぞれの良さと気をつけたい点を整理します。
知的学級を選ぶメリット・注意点
メリット
- 学習進度を子どもに合わせられる(無理なく学べる)
- 生活単元学習で、実生活に直結したスキルが身につく
- 少人数で手厚い支援が受けられる
注意点
- 卒業時の学習内容が学年相応とは限らないので、中学進学時に進路の選択肢を確認する必要がある
- 通常学級との交流の頻度は学校によって差がある
情緒学級を選ぶメリット・注意点
メリット
- 教科学習は通常学級と同じ進度で進められる
- 自立活動で対人スキルや感情コントロールを練習できる
- 通常学級への戻り(転籍)や通常の進学ルートが取りやすいと説明されることが多い
注意点
- 設置されている学校が限られる自治体も多い
- 学習面は基本的に学年相応のスピードで進むので、学習の遅れがある場合は別の支援が必要
通常学級+通級という選択肢との比較
もう一つ忘れてはいけないのが、「通常学級に在籍しながら、週に数時間だけ別教室で個別指導を受ける」通級指導教室という選択肢。
- 知的に遅れがなく、困りごとが「ある程度」のレベルなら、通級で対応できることも
- 情緒学級ほど手厚くはないけれど、通常学級の中で過ごせる時間が長い
詳しくは通常学級・通級・支援学級の違いを比較した記事で解説しています。
わが家の場合|知的より「癇癪」が判断の決め手だった

ここからは、わが家のリアルな話を書きます。
知的学級は最初から検討しなかった理由
わが家のASD息子の場合、
就学先で迷うポイントは「知的学級か情緒学級か」ではありませんでした。
理由はシンプルで、
- 知能検査の結果、知的発達の遅れはないことが明確だった
- 日常会話も年齢相応にできていて、抽象的な話題も理解できていた
このため、選択肢は最初から「通常学級/通級/情緒学級」の3択でした。
本当に困っていたのは園での友達・先生とのトラブル
私が本当に頭を抱えていたのは、息子の癇癪でした。
こんな日が続いていたんです。具体的には、
- 勝ち負けがある場面で、勝ちへのこだわりがとても強い
- 負けたときの悔しさが切り替えられず、教室に入れなくなる
- 思い通りにならない場面で、感情のスイッチが入ってしまう
- 切り替えに時間がかかり、活動に戻れない
園の先生たちはASDの特性を理解してくれていて、しつけの問題と決めつけられることはありませんでした。それでも、集団生活の場面で本人がしんどい思いをしているのは事実で、
「このまま小学校に上がって大丈夫だろうか?」
という不安は強かったです。

ASDのお子さんで「知的に遅れはないのに集団でつまずく」というのは、実はとてもよくあるパターンです。
勝ち負けへのこだわりや、思い通りにならない場面での切り替えの難しさは、ASDの特性として整理されているものです。
私も当時は定型発達のお子さん向けの育児書にある「癇癪には共感を」を試しては、うまくいかず、そっと本を閉じていました。
就学相談には行かなかった選択
実は、わが家は個別の就学相談には行きませんでした。理由は、
- 知能検査の結果が手元にあり、知的に遅れがないことは明確だった
- 主治医・療育の先生の意見も一致していた
そのかわり、
- 学校見学を複数の学校で実施:通常学級・情緒学級の様子を実際に見せてもらった
- 主治医・療育の先生に何度も相談:息子の特性に合う環境を一緒に考えた
最終的に情緒学級を選んだ理由
最後の決め手は、学校見学でした。
通常学級の見学では、息子は30人前後の教室の空気にすぐ疲れてしまって、その流れで支援学級へ移動する途中、癇癪を起こして見学が中断になってしまったんです。
「これは情緒学級も見ないままじゃ判断できない」と思って、後日改めて支援学級だけを見学に行きました。そのときに対応してくれた支援学級の先生がとても親切で、息子の特性についても丁寧に話を聞いてくれて、「ここなら息子のペースで過ごせそう」と心から思えたんです。本人に後から聞いたところ、支援級が良いと意見を言ってくれました。
「癇癪が出たときに、落ち着ける環境があるか」
「先生が子どもの特性を理解して関わってくれそうか」
——これがわが家にとって最大のチェックポイントでした。
わが家が判断のときに見た3つのポイント
- ① 知能検査の結果(数字だけじゃなく、得意・不得意のバランス)
- ② 集団の中での具体的な困りごと(学習面か、行動・感情面か)
- ③ 学校見学での子ども本人の反応
就学相談前にやっておきたい3つの準備

最後に、就学相談に向けて親ができる準備をまとめます。
① 知能検査の結果を整理する
すでに療育や発達外来で検査を受けている場合は、結果の用紙やコピーを手元に揃えておくのがおすすめ。WISC-IV/Vなら、
- 全検査IQ(FSIQ)
- 各指標得点(言語理解・知覚推理/視空間・流動性推理・ワーキングメモリー・処理速度など、検査によって構成が異なります)
- 指標間のばらつき
この情報があると、就学相談の場でも具体的な議論ができます。
検査からしばらく経っている場合は、再検査を依頼することも検討してみてください。
② 候補となる学校の学級を見学する
見学は、通常学級・情緒学級・知的学級を可能な限りすべて見ておくのが理想。
学校によって雰囲気がまったく違うので、子どもが「ここならやれそう」と感じる場所が見つかることがあります。
見学のときにチェックしたいポイント:
- 教室の人数と雰囲気
- 先生と子どもとのやりとりの様子
- 通常学級との交流の頻度
- 困ったときの支援体制(クールダウンスペースの有無など)
③ 子どもの「困りごとリスト」を作る
わが家は、これを作ってから話が早くなりました。
家・園・公共の場で、子どもがどんな場面でつまずくか
を箇条書きで書き出しておきます。簡単なメモでも構いません。
例:
- 朝の支度で予定が変わるとパニックになる
- 大きな音(運動会のピストルなど)で耳をふさぐ
- お友達のルール違反が許せず、叩いてしまうことがある
- 集団指示が通りにくく、個別に声をかけると動ける
こうしてリスト化しておくと、就学相談でも、見学先の先生との会話でも、具体的に説明できるので話が早く進みます。「なんとなく心配」を「具体的な困りごと」に変えるのが、判断への第一歩です。
まとめ
知的学級と情緒学級の違いを整理しておきます。
- 一番の違いは「知的発達の遅れがあるかどうか」
- 知的学級は学習進度を柔軟に調整できる、情緒学級は通常学級に準じた教育課程+自立活動が基本
- 判断のポイントは「①知能検査の結果」「②学習面と生活面どちらの困りごとが大きいか」「③自治体・学校の運用」
- 親ができる準備は「検査結果の整理」「学校見学」「困りごとリストの作成」
就学先を決めるのは、最終的にご家庭の判断になります。
わが家は、就学相談・主治医・療育の先生・園の先生と、それぞれ別々に話をして、そのうえで決めました。
通常学級と特別支援学級の違いを解説した記事もあわせてどうぞ。特別支援学級の一日の流れが気になる方は特別支援学級の一日も参考にしていただけたらと思います。
よくある質問(FAQ)

Q1. 途中で知的学級から情緒学級(またはその逆)に移れる?
A. 制度上は移籍が可能です。ただし、学期や学年の区切りでの移籍が一般的で、手続きには時間がかかります。子どもの状態が大きく変わった場合は、担任の先生や特別支援教育コーディネーターに相談しましょう。再度の就学支援委員会での検討が必要になることが多いです。
Q2. 診断名がなくても情緒学級に入れる?
A. 自治体によります。多くの自治体では自閉症やそれに類する障害、または場面緘黙等の状態が対象とされています。診断名がなくても、医師の意見書や検査結果から該当性が認められれば対象になることもあります。お住まいの教育委員会に確認するのが確実です。
Q3. 知的学級だと進学先が限られるって本当?
A. 限られるというより、進路の方向性が変わるという表現が正確です。知的学級から中学の支援学級・高等特別支援学校・職業学科などに進む子もいれば、状況に応じて通常学級に戻る子もいます。「限られる」というイメージだけで判断せず、地域の進学実績を学校に確認してみてください。
Q4. 学校に希望する学級が設置されていない場合は?
A. 学区外の学校に通うか、近隣の他校への通学が認められるケースがあります。特に情緒学級は設置校が限られる自治体が多いので、お住まいの教育委員会に「希望する学級がある最寄り校」を確認しましょう。スクールバスや送迎の有無もあわせて確認しておくと安心です。
見学の途中で癇癪を起こして、廊下で立ち止まってしまったあの日のことも、
いま思えば、判断材料のひとつでした。
息子はいま、自分のペースで学校に通っています。
あの頃の私に教えてあげたかったな、と思いながら書いています。

