負けると癇癪を起こす|ASDの子の「勝ち負けへのこだわり」 うちの場合

悔しくて泣いている子どものイラストと「負けると癇癪 ASDのこだわり 勝ち負け編」の文字 子どもの発達特性
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こんにちは、かめこです!
社会福祉士でASDの子どもを育てている現役ママです。

💧じゃんけんで負けた。
💧かけっこで1位じゃなかった。

ただそれだけのことで火がついたように泣き出して、その場から動けなくなる
年長にもなってこれは困ったな、と思っていませんか?

まさにうちの息子がそうでした。

育児書のとおりにやってもうまくいかず、そのたびに自分を責めていた時期があります。

自閉スペクトラム症(ASD)の子育ては、育児書通りにいかない場合もありますよね。
そんな子育てに悩んでいるママに向けて今回は以下について書いています。

この記事に書いてあること

  • 園での様子(勝ち負けの場面)
  • なんで勝ちたいのか?
  • わが家の対応

園での様子はどうだったか?

園庭のイラスト

ドッジボールで負けて教室に戻れない

うちの息子は自閉スペクトラム症(ASD)で、知的な発達の遅れはありません。
先生の指示が通らないという事はなかったそうです。
ただ園で困った場面として一番多かったのが、勝ち負けのある遊びの時でした。

たとえばドッジボールです。
チームが負けると悔しくて、そのまま教室に戻れなくなる。
切り替えがきかなくて、時間だけが過ぎていく。
1時間ほど過ぎたころ、たまたま給食の時間と重なって教室に戻れたそうです。

駆けっこ10位で大泣き

年長の冬。
学年全体で走る駆け足会がありました。
だいたい距離としては800mくらいでしょうか。
うちの息子は、男の子のなかで10位くらいでした。

息子はゴールしたあと、その場に突っ伏して動かなくなったんです。
先生に促されても、泣いたまま帰るまで動きませんでした。

10位です。
ビリではありません。
周りの目も気になりますし、「何故そこまで悔しいんだろう?」と不思議でなりませんでした。

園にはどう伝えていた?

「特に勝ちにこだわります」と伝えた

うちの場合、園の先生方は自閉スペクトラム症(ASD)の特性を理解してくださっていました。

「甘やかしているからだ」「しつけの問題だ」と一方的に親側が責められるようなことは一度もありません。

特に主任の先生の息子さん(当時は高校生)が自閉スペクトラム症との事で、発達障害について理解がありました。
これは運がよかった部分だと思っています。
同じように伝えても、園によって受け取り方は違うはずです。

園や学校に伝えるときは、「負けず嫌いで困っている」ではなく、
「先の見通しが立たない場面が苦手で、変化が苦手です」「特に勝ちにこだわります」と伝えました。そうすると特性の話として受け取ってもらいやすいと感じています。

発達障害(ASD)と伝えていたことで、園全体で子どもの事を見守ってくれたことが嬉しかったです。

負けると癇癪を起こすのは、負けず嫌いだから?

じゃんけんをしている男の子のイラスト

見通しが立たないと不安

厚生労働省の資料では、自閉スペクトラム症の特性を次のように示しています。

見通しの立たない状況では不安が強いが、見通しが立つ時はきっちりしている。

(厚生労働省「発達障害の特性(代表例)」より)

勝負ごとは、この「見通しが立たない時間」がずっと続きます。
勝ち負けのある遊びが始まった時点では結果がわかりません。
しかも自分がどれだけ頑張っても、結果を自分でコントロールできない。

負けたことが悔しいというより、

最後まで先が読めない状態そのものが、ツライのかもしれない

私はそう受け取っています。

何でも勝ちたい!

じゃんけんで負けると怒る。
すごろくのように、サイコロの出た目で進む数が決まる遊びがあります。
頑張っても、頑張らなくても、結局は運なので結果は変わりません。

それでも、うちの子は負けるとすごろく盤をひっくり返しました。
自分が負けそうになると途中でやめてしまうこともあります。

ここが、悩みどころでした。
自分では結果を変えられないゲームで、あそこまで崩れるのはどうしてなんだろう?と。

「勝ち=正しい」「1位=正解」

もうひとつ、別の資料に挙げられている特性があります。

行動、興味、または活動の限定された反復的な様式

(国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター「自閉スペクトラム症」より)

こだわりというと、順番や道順の話がよく挙がります。
でも、興味・関心・こだわる対象「勝つこと」そのものだったとしたらどうでしょうか。

勝ちが正しくて、負けは間違い
1位が正解で、それ以外は全部不正解

うちの子を見ていて、私はそう受け取るようになりました。
悔しいのではなく、間違ったことが起きてしまった、に近いのかもしれない、と。

癇癪=「欲求と現実のギャップ」

うちの子が未就学のころ、市の発達医療の支援施設に通っていました。
そこで親向けのセミナーがあって何度か参加させてもらいました。
責任者の先生がこんな話をされていたのを覚えています。

先生
先生

「癇癪は欲求と現実のギャップから生まれます」

癇癪は、
こうしたい!」という欲求と、実際に
できなかった」というギャップがあるときに生まれる。

勝ちたい。勝てると思った。でも実際は負けた。
これがギャップになるんですね。

負けたという絶望感が、癇癪という感情爆発につながっていたのかもしれません。

「勝ち負けへのこだわり」は、正式な特性名ではない

ひとつ、お伝えしておきたいことがあります。

診断の基準に「勝ち負けにこだわる」という項目はありません。

ASDの特性として国が挙げているのは、

✅社会的なコミュニケーションの難しさと、
✅行動や興味が限定されて繰り返される様式、
✅そして先ほどの「見通し」の話です。

「勝ち負けへのこだわり」は、その特性が勝負の場面に出てきたときの、現場での呼び方だと私は理解しています。

なので、「勝ち負けにこだわる=ASD」ではありませんし、その逆でもありません。
ここは慎重に書いておきたいところです。

育児書のとおりにやれば落ち着くの?

うちの場合は「共感して待つ」が合わなかった

癇癪の対応として、育児書によく書いてあるのは
「まず気持ちに共感して、落ち着くまで待つ」という方法です。

やってみました。

「悔しかったね」

返ってきたのは、

「うるさい!このゲーム二度とやらない!」

全くうまくいかなかったんですよね。

つらかったのは、うまくいかなかったこと自体より、
「本に書いてあるとおりにやったのに、できない自分」のほうでした。

・子どもが落ち着かないこと
・そのやり方すらできない自分
 二重に自分を責めていました。

念のために書いておくと、この方法が悪いという話ではありません。
合うお子さんもたくさんいるのだと思います。
うちには合わなかった、というだけの話なんです。

今になって思うのは、私は息子の「悔しさ」のほうに対応していたかもしれない。
本人の中で起きていたのが 負けた=「間違ったことが起きた」だったのなら、いくら悔しさに寄り添っても、間違いは間違いのままです。
息子の心に届かなくて当然でした。

うちで続けてみたことは?

遊ぶ前に「やる?やらない?」と聞くようにした

ママさん
ママさん

勝ち負けのある遊びをすると怒っちゃうので、別の遊びをしがちです

かめこ
かめこ

そうですよね。
うちの場合は勝ち負けのある遊びを始める前に一言くわえることにしています。

うちでやってみたのは、勝ち負けのある遊びが始まる前に、一度だけ確認することでした。

「負けちゃうかもだけど、どうする? やる? やらない?」

負ける可能性があることを先に伝えて、参加するかどうかは本人に決めてもらう。
やらないと言えば、それでいい。

もうひとつ、こんな聞き方もしていました。

「怒っちゃいそう?」

負けたとき自分がどうなりそうか、先に想像してもらう質問です。

先に見通しを立てておく」ことを意識しています。

負ける可能性も、そのとき自分がどうなるかも、始まる前に一度だけ見えるようにしておく。
厚労省の資料にあった「見通しの立たない状況では不安が強い」の、ちょうど裏返しをやっていたことになります。

今はどうなった?

ボードゲームをして遊ぶ親子のイラスト

「自分は負けるとイライラする」と本人が言うようになった

年齢が上がるにつれて変わってきたのは、癇癪そのものより先に本人の自覚のほうでした。

むすこ
むすこ

負けるとイライラする!

そう言うようになりました。

今も負ければ悔しくて、怒ります。
それでも、小さいころに比べればずいぶんマシになりました。

本人がイライラしやすいと自覚することで怒った後の立ち直りが早く、
周りの対応が楽になっていると感じます。

今日できる一手

もし今日ひとつだけ試すとしたら、

勝ち負けのある遊びが始まる前に「負けちゃうかもだけど、やる?」

と一度聞いてみることでしょうか。

参加するかどうかを本人に決めてもらうだけなので、特別な準備はいりません。

ただ、うちで劇的に効いたかというと、そこまでは言えないというのが正直なところです。
もし試していただいて、少しでも変化があれば嬉しいです。

まとめ

  • 「勝ち負けの勝ちにこだわる」と事前に園に伝えていた
  • 「見通しの立たない状況では不安が強い」と認識する
  • 本人のなかでは「勝ち=正しい、負け=間違い」という受け取り方なのかもしれない
  • 年齢が進めば自覚して落ち着く場合もある

よくある質問

Q1. 勝ち負けにこだわるのは、成長すれば自然になくなりますか?

一般的にどうかを言い切れる資料は見つけられませんでした。うちの場合は、まだまだ勝ち負けにこだわります。ただ、「自分は負けるとイライラする」と本人が自覚した分、小さいころよりは落ち着いてきました。お子さんによって違う部分だと思います。

Q2. 療育で、勝ち負けの練習をしてもらえますか?

児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所によって、取り組む内容はかなり違います。以前息子が通っていた児童発達支援では勝ち負けの練習をさせてくれました。見学や相談のときに直接聞いてみるのが確実です。

Q3. 勝ち負けへのこだわりが強いと、通常学級では難しいですか?

こだわりの強さだけで決まるものではないと思います。学級を決めるときに見られるのは、集団の中でどう過ごせているか、どんな支援があれば力を出せるかといった、もっと広い部分です。

わが家も、ここはずいぶん迷いました。
通常学級と特別支援学級の違いについては→通常学級か支援学級か?後悔しない就学先の選び方に書いています。迷いがある場合は、お住まいの自治体の就学相談を受けることをおすすめします。

Q4. 診断がないと、相談や療育の利用はできませんか?

診断書がなくても、受給者証を取得して療育を利用できる場合があります。自治体によって手続きが違うので、お住まいの窓口にご確認いただくのが良いかと思います。

参考資料

※ 制度の情報は2026年8月時点のものです。お住まいの自治体で異なる場合があります。
就学や進路に迷いがある場合は、お住まいの自治体の就学相談を受けることを強くおすすめします。

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